止水工事を初めて担当すると、どうしても
「漏れている水を止める」
ことから考えがちです。
でも私は、止水工事では最初にどう止めるかではなく、なぜ止めるのかを決めた方がいいと考えています。
漏水がある=完全止水、ではない
現場で漏水が見つかったとしても、必ずしも完全に水を止める必要があるとは限りません。
例えば、
- 次工程の施工に支障がある
- 利用者や設備に水がかかる
- 冬期につららや凍結の原因になる
- 水が流れ続けることで劣化が進む
- 水を安全な場所へ逃がせれば問題ない
など、漏水対策をする理由は現場ごとに違います。
この「何のために対策するのか」が分からないまま工法だけ決めると、後から判断がぶれやすくなります。
止める以外にも選択肢がある
漏水対策は、大きく分けると私は次の3つで考えています。
完全止水
漏水そのものを止める。
減水
完全には止めず、次工程や使用上問題のない水量まで減らす。
導水
水を無理に止めず、ドレンなどで安全な場所へ流す。
例えばトンネルでは、すべての漏水を完全に止めるより、導水して側溝へ流した方が合理的な場合もあります。
逆に、次工程で乾いた状態が必要なら、減水では足りず止水が必要になることもあります。
つまり、工法は漏水の量だけで決めるものではなく、その現場で必要な状態から逆算するものだと思っています。
完全止水を最初から約束しない
止水工事では、一つの漏水口を止めたあと、別のひびや目地から水が出てくることがあります。
コンクリート内部の水みちは、外からすべて把握できるわけではありません。
そのため私は、施工前の段階で、
「完全に止まらないことも普通にあります」
という前提を関係者と共有するようにしています。
「止水工事なのだから水がゼロになるまでやる」
という認識で始めてしまうと、追加施工が続き、工期や費用の終わりが見えなくなることがあります。
現場監督が最初に確認したいこと
止水工事を始める前に、最低限これだけは確認しておいた方がいいと思います。
今回の漏水対策は、何のために行うのか。
ここが決まれば、
完全止水が必要なのか、
水量を減らせばいいのか、
導水で対応できるのか、
次の判断へ進めます。
止水工事では、材料や施工方法を考える前に、まず工事の目的を決めることが重要です。
次の記事では、
「止水工事の完了条件は、いつ・どこまで決めるべきか」
を実際の現場経験をもとに整理します。
